CEO自らがiPadで業務処理

セールスフォース・ドットコム、日本法人社員の1割が正規端末に利用

「4月に約2週間、日本に滞在した当社CEOのマーク・ベニオフは、日本にいる間、ほとんどの業務をiPadでこなしていた。エグゼクティブが率先してiPadを利用しているのが当社の特徴」――。

 クラウド大手のセールスフォース・ドットコムでは、米本社のエグゼクティブチームを中心に、iPadを利用したビジネス利用が進んでいる。

 同社の主力製品であるクラウドCRM(顧客管理)アプリケーション「セールスフォースCRM」や、6月から出荷を開始した「セールスフォース チャター」の利用にiPadが威力を発揮。同社の役員や社員もそのアプリケーションを活用しているからだ。


リアルタイム性を重視したサービスに適している

 全世界で8万2400社以上の導入実績を持つセールスフォース CRMは、クラウド型の強みを生かして、短期間に、低コストで、専門知識を必要とすることなく、システム構築および運用を開始できるCRMとして高い評価を得ている。政府のエコポイント制度の管理システムをわずか1カ月で構築するといった実績はその最たるものだ。

 一方、すでに1万5000社以上が導入したチャターは、ソーシャルコラボレーション・アプリケーションと位置づけられるサービスで、FacebookGoogleTwitterなどで広く普及したプロファイルやステータス更新、リアルタイムフィードといったソーシャルネットワークの手法をビジネスシーンに持ち込んだ。ソーシャル性、モバイル性、リアルタイム性を兼ね備えたビジネスツールとして利用できるようにしたものだ。
セールスフォース・ドットコム日本法人のコーポレートセールス本部シニアディレクターの小関貴志氏は、「iPadの魅力は、画面が大きいこと、起動スピードが速いこと、そして長時間駆動の実現により、モバイル環境での利用に十分耐えうるスペックとなっている点にある。こうした特徴は、チャターのようなリアルタイム性を重視したサービスには適している」とする。

 iPadでの利用には、App Storeからアプリケーションをダウンロードするだけ。セールスフォースのユーザーは、無料で利用できる。


ビジネスマナーを無視しない現場での利用

 チャターでは、社員同士やプロジェクトチームメンバー同士、あるいは社外を含んだチームメンバーが、お互いのビジネスプロセスや、データなどをフォローする。情報が更新されると、リアルタイムでそれを共有できるようになる。

 直接チームに参加をしない経営層も、「あの商談の状況を見ておきたい」、「あの顧客の状況は把握しておきたい」と思えば、商談プロジェクトや顧客担当チームを「フォロー」しておくだけで、情報が更新された時点でリアルタイムに情報を入手できる。「なぜ、その報告をしなかったんだ」というような不毛な議論は消えることになる。

 「リアルタイムに情報を入手するという点では、iPhoneが適しているといえるが、多くの『つぶやき』を表示できる一覧性や、操作性という点では大画面のiPadの方が適している」と小関シニアディレクターは考えている。

 また、こんな点でもiPadの特徴が生かせる。